小屋裏換気トレンドVol.2 「屋根形状の種類」
住宅事情 2019.01.21
このコラムでは、住宅金融支援機構の「フラット35住宅仕様実態調査報告」より、小屋裏換気にかかわるデータをピックアップしていきます。
第1回では「小屋裏換気孔の設置方法」の動向について確認しました。
今回は「屋根形状」の動向について見ていきます。
屋根形状の種類
屋根の形状は多くの種類があります。今回の調査では、以下の7種類が選択肢に挙がっていました。
今建っている住宅の屋根がこの7種類のうちどのような形をしているのか、さらにそれぞれどのような小屋裏換気の取り方をしているのか、確認していきましょう。
屋根形状のトレンドや変化は?
まず、全国の屋根形状のトレンドや変化について見てみましょう。
現在最も多いのは切妻屋根で40.7%を占めています。前回までは増加し続けていましたが、今回ついに減少に転じました。
一方この10年で急激に増加しているのが片流れ屋根で、平成19年度は12.9%だったのが現在は30.5%にまで急増しています。
現在はこの2種類で7割を占めています。かつて約半数を占めていた寄棟屋根は、切妻屋根と片流れ屋根に押されるように減少し、現在は13.2%まで減少してしまいました。
10年以上前は切妻屋根と寄棟屋根の2種類で8割を占めていたことを思うと、この10年・20年で住宅の外観がいかに大きく変化しているかが感じられるかと思います。
エリア別の屋根形状のトレンドや変化は?
全国を10のエリアに分けた結果も公開されています。前回の結果と並べて見てみましょう。
全体的に、片流れ屋根が増加傾向にあります。
北海道の屋根形状は独特で、他の地域ではまだまだ多い切妻屋根はわずか5.3%。無落雪屋根が71.8%と大勢を占めています。
首都圏は狭小地が多いためか、寄棟が23.6%と他地域と比べて最も高くなっています。
屋根形状と、小屋裏換気孔の設置方法の関係は?
屋根形状によって、小屋裏換気の扱いにも差が出て来ます。
第1回で取り上げた小屋裏換気の取り方の割合が屋根形状ごとにどうなっているのか、前回と並べて見てみましょう。
どの屋根形状においても、屋根断熱の比率が増えています。
まず最も多い屋根である切妻屋根を見てみましょう。
切妻屋根の屋根断熱比率は、全体とほぼ同じの39.1%。小屋裏換気の取り方は、軒裏吸排気が最も多いですが、軒裏吸気棟排気も全体と比較すると少し多くなっています。
次に、2番目に多い片流れ屋根を見てみましょう。
屋根断熱の比率は46.6%と全体傾向に比べて高くなっていますが、半数以上が小屋裏換気を取っています。小屋裏換気を取る際も、軒裏吸排気が35.8%を占め、軒裏吸気棟排気は9.3%と低い割合になっています。
3番目に多い寄棟屋根は切妻屋根や片流れ屋根と比較すると屋根断熱の比率が低くなっています。これは屋根断熱にしづらい屋根形状であることも理由であると考えられます。
また、北海道で多数を占める無落雪屋根ではほとんどが軒裏吸排気になっています。屋根断熱はごくわずかです。
次回のvol3では軒の出の長さについて見てみたいと思います。
参考資料:住宅金融支援機構「フラット35住宅仕様実態調査報告」