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外壁通気構法で求められる住宅品質vol.9「防水シートの重ね位置における設備貫通部の雨仕舞」

住宅事情 2020.04.21

外壁通気構法で求められる住宅品質vol.9「防水シートの重ね位置における設備貫通部の雨仕舞」

換気扇のダクトやエアコンの配管など、外壁で設備配管の貫通する部分が防水シートの上下・左右の重ね位置に干渉する場合は防水テープの貼り方に注意が必要です。単純に上面の防水シートと配管廻りにだけ防水テープを貼っている場合や上面と下面の防水シートにまたがって防水テープを貼っている場合は、防水処理がされていない部位が発生しています。

 

問題が無いように見える不備事例1

防水シートの上下の重ね位置に設備貫通部があり上面の防水シートだけに防水処理をしている事例。下の解説図Aの②に該当します。

 

問題が無いように見える不備事例2

防水シートの左右の重ね位置に設備貫通部があり、防水テープを2枚の防水シートにまたがって貼っている事例。下の解説図Bの⑩に該当します。

 

防水シートの重ね位置と設備貫通部

下の解説図をご覧ください。まず、重ね位置の防水シートは二重になっています。 ※隠れて見えない方を【1枚目】、表面の見える方を【2枚目】と表現させていただきます。 防水シートの重ね位置において、設備貫通部を防水テープで処理する場合は2枚目だけ(解説図②③⑧⑨)か2枚目と1枚目にまたがるかたち(解説図④⑤⑩⑪)で防水処理されています。

ここで知っておかなければいけないのが2枚目の裏に隠れている1枚目のシートは、防水処理されていないということです。解説図で見ると黄色線が引かれている部分が1枚目で防水未処理となります。 ④や⑩を見ていただくと、雨水が防水シート間を伝い防水未処理の部位(黄色線)に達しやすいということが解ると思います。雨水浸入のリスクがあるということです。 ②と③は上下の重ね、⑧と⑨は左右の重ね巾が十分確保できていない位置に、防水未処理の部位(黄色線)があります。 ⑤と⑪は1枚目の防水シートだけを貫通しているのですが、1枚目と2枚目にまたがるよう防水処理がされていて、防水シートの端部と設備貫通部の接するピンポイントで防水未処理や防水不良(簡単にテープが剥がれる等)になる部位が生じます。

 

解説図A|防水シートの上下重ね位置

 

解説図B|防水シートの左右重ね位置

②③④⑤⑧⑨⑩⑪はそれぞれ危険度は異なりますが、雨水の浸入を考えて施工方法を工夫しなければいけない部位です。防水テープ処理する場合の対策例をいくつかご紹介します。

・できるだけ重ね位置に設備貫通部がこないように設計及び施工に配慮する(②③④⑧⑨⑩に該当)

・重ね巾を多く確保する(②③⑧⑨に該当)

・2枚目にまたがらないように1枚目だけに防水処理を行う(⑤⑪に該当)

・防水シート端部に防水テープを貼る(⑧⑨に該当) ※下図参照

 

防水シート端部に防水テープを貼った例

 

 

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株式会社NEXT STAGE

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