小屋裏空間で求められる住宅品質vol.3「設計段階から小屋裏環境を良くする3つのポイント 続編」
住宅事情 2019.02.18前号の 小屋裏空間で求められる住宅品質vol.3「設計段階から小屋裏環境を良くする3つのポイント」のPOINT.3「構造躯体への雨水の侵入を防ぐ」の続きです。小屋裏への雨の吹込みリスクを低減する措置の事例紹介をさせて頂きます。
→前号「設計段階から小屋裏環境を良くする3つのポイント」を見る
POINT.3
構造躯体への雨水の侵入を防ぐ
<雨の吹き込み対策事例②> 軒裏換気部材の選定
使用する軒裏換気部材の種類によって、雨の吹込みリスクは変わります。軒天有孔ボードは、軒裏換気部材の中でも雨の吹込みリスクが高いと言われています。風雨の吹上が強い立地では、デザインやコストだけではなく、雨水の侵入を防ぐ性能を持った軒裏換気部材を選定をすることが望ましいです。
軒裏換気部材に軒天有孔ボードを使用した事例。風雨の吹上が強いと雨の吹込みリスクが高い。
<雨の吹き込み対策事例③>軒裏換気部材の取り付け位置
壁に吹き付けた風が起こす気流の影響を受け、換気部材の取り付け位置によって、小屋裏へ雨が吹込むリスクが変わります。軒裏への取り付け位置が壁側の場合はリスクが高く、中間部、先端部に向けてリスクは低くなる傾向にあります。
軒裏換気を採用する際は、住宅の立地条件に応じて「透湿防水シートの張り上げ」「軒裏換気部材の選定」「軒裏換気部材の取り付け位置」等の雨の吹き込み対策を総合的に考え、構造躯体の劣化防止に配慮した設計が望ましいです。
軒裏の壁側へ取り付けた事例
軒裏の中間に取り付けた事例
軒裏の先端に取り付けた事例
<雨の吹き込み対策事例④> 妻換気部材取り付け面の軒の出
妻換気は、軒裏換気に比べ、換気孔の有効換気面積を小さく抑えることができることから小屋裏換気の手法として有効であることが窺えますが、壁面に取り付けするため雨がかりしやすく、換気口からの雨の侵入リスクは高くなります。 又、雨がかりは軒の出の影響を受け、軒の出が小さい場合は雨がかりが多くなり、軒の出が大きい場合は雨がかりが少なくなります。妻換気では、雨の吹き込み対策として軒の出に配慮が必要です。
左:軒の出が小さいと雨がかりが多くなる。 右:軒の出が大きいと雨がかりが少なくなる。
次回のvol.4では、小屋裏換気工事の施工品質に関わる事例をご紹介させていただきます。
記事提供:
住宅品質向上のリーディングカンパニー
株式会社NEXT STAGE
住宅会社の自社品質基準の構築や、建築現場での第三者監査など「住宅品質の安定と向上を具現化する」ためのコンサルティング事業を展開。
https://nextstage-group.com/