TOPICS

外壁通気構法で求められる住宅品質vol.1 「通気層はなぜ必要なのか? 」

住宅事情 2019.07.16

外壁通気構法で求められる住宅品質vol.1 「通気層はなぜ必要なのか? 」

外壁通気構法

木造の戸建て住宅では、外装仕上げ材と構造躯体の間に「通気層」を設ける「外壁通気構法」を採用していることが多いです。住宅瑕疵担保責任保険の設計施工基準では、「外壁の防水措置」を行う方法の一つとして通気構法の基準が定められており、また木造住宅工事仕様書(フラット35)では、さらに細かい施工のルールが記載されています。

シワなく透湿防水シートが張られた外壁通気構法を採用した優良現場

 

通気層の働き

外壁通気構法により通気層を設ける主たる目的は、住宅瑕疵担保責任保険の設計施工基準にあるように、外壁等(1次防水)から浸入した雨水の壁体内への浸入を防ぎ、通気層を通して外部へ排出する「防水」と、それとは別に、室内や壁体内の湿気を通気層を通して外部へ排出する「排湿」です。共に対策を怠ると、雨水や湿気の影響を受け、構造材や下地材が腐って劣化したり、外壁仕上げ材や内装仕上げ材に不具合が生じたり、建物の耐久性や価値を下げてしまう恐れがあります。

 

胴縁を使用する構法と使用しない構法

外壁通気構法で通気層を確保するために、大きく分けて胴縁を使用する方法と胴縁の代わりに専用通気金具を使用する方法があります。胴縁を使用する施工方法は、胴縁を縦に留め付ける縦胴縁構法(上の写真)と胴縁を横に留め付ける横胴縁構法(下の写真)があります。ともに15㎜厚以上で45㎜幅以上の乾燥した胴縁を使用します。胴縁を使用しない構法としては、外装仕上げ材と同時に通気金具を留め付ける通気金具構法等があります。

横胴縁構法で施工された現場

 

次回以降のコラムでは、「排湿」や「防水」に分けて、詳しい原理や設計及び施工品質管理ポイントを情報発信させていただく予定です。今回は、最後に「排湿」と「防水」のどちらにも該当しない、注意すべき事例を2例紹介いたします。

 

防蟻・防腐剤と透湿防水シートの相性

防腐処理された胴縁を使用する場合、透湿防水シートと薬剤の相性が悪いと、施工中に雨水に晒され溶け出した防蟻・防腐剤が、透湿防水シートの防水性能を低下させることがあります。木造住宅工事仕様書(フラット35)日本透湿防水シート協会のホームページ上でも、「雨濡れさせない」ように注意喚起されています。防腐処理胴縁の施工後は、養生を行うか、速やかに外装を仕上げを行うなどの配慮が必要です。

 

防腐処理胴縁を施工した現場 ※不備事例ではありません

 

胴縁留め付け部の割れ

胴縁留め付け部の割れ 胴縁端部の留め付け部で釘打ち等による割れが発生している場合、使用する材質や環境条件によっては、胴縁が釘からはずれて反り、外装仕上げに影響を与え、不具合が生じる恐れがあります。この他にも胴縁の反りは、胴縁端部と釘のあきが大きい場合、胴縁を柱や間柱ではなく面材に固定した場合などでも発生する恐れがあるので注意が必要です。

 

 

 

記事提供:

住宅品質向上のリーディングカンパニー
株式会社NEXT STAGE

住宅会社の自社品質基準の構築や、建築現場での第三者監査など「住宅品質の安定と向上を具現化する」ためのコンサルティング事業を展開。

https://nextstage-group.com/