外壁通気構法で求められる住宅品質vol.2 「外壁通気構法の仕組みと押さえるべきポイント」
住宅事情 2019.09.24外壁通気構法の仕組み
室内からの湿気の侵入や乾燥が不十分な木材の使用などによって、壁体内に滞留した湿気を屋外に排出するために通気層を作るわけですが、通気層で湿気を排出する仕組みはいたってシンプルです。 水は通さずに湿気を通すことができる透湿防水シートを、屋外側壁下地に貼り壁体内の湿気を屋外へ移動できる状態とし、15mm以上空間をあけて外壁仕上げ材を貼り、通気層をつくることで、湿気はそこを流れる空気に運ばれ屋外へ排出されます。この通気層の空気の流れは、温度差と気圧差を利用して作りだされています。
通気層を流れる空気が湿気を運び屋外へ排出
瑕疵担保責任履行法や木造住宅工事仕様書(フラット35)においても壁体内結露防止の為の措置の一つとして外壁通気構法の基準が定められています。「JIS A 6111(透湿防水シート)に適合する透湿防水シート又は同等以上のものを使用する」「通気層に用いる胴縁は乾燥材又は防腐処理されたものとする」等の材料に関わることや、「通気層は厚さ15㎜確保する」「断熱材の屋外側には上下部が外気等に通じている通気層を設ける」等の施工・計画に関することが記載されています。どれも重要なことなのですが、最近の住宅現場の現状をかんがみると「通気層の出入口とその経路の計画」を特に注意すべきポイントであると考えています。
外壁通気構法を考える上で押さえるべき3つのポイント
1.空気の入口を確保 2.空気の流れる道の確保(通気層) 3.空気の出口の確保
繰り返しとなりますが、外壁通気構法では、空気を入口から取り込み、通気層を通る空気の流れによって湿気を出口へ運び排出します。(下図参照) しかし、実際の現場では施工不備や計画自体の問題で通気層が機能していないケースが見受けられます。見落としなのか、そもそも問題としてとらえていないのかわかりませんが、外壁通気構法の原理原則である1.2.3のポイントを念頭に置き現場をチェックすることで今まで気付かなかった問題を発見することができるようになります。どのような課題が潜んでいるのか、次回より、1.2.3のポイントに沿った形で、不備事例と優良ビルダーの取組み事例をご紹介させていただきます。
外壁通気構法における通気層の出入口例~通気の経路~
記事提供:
住宅品質向上のリーディングカンパニー
株式会社NEXT STAGE
住宅会社の自社品質基準の構築や、建築現場での第三者監査など「住宅品質の安定と向上を具現化する」ためのコンサルティング事業を展開。
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