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外壁通気構法で求められる住宅品質vol.5「防水性能も重要!特に注意したい窓まわり」

住宅事情 2019.12.16

外壁通気構法で求められる住宅品質vol.5「防水性能も重要!特に注意したい窓まわり」

外壁通気構法による防水(2次防水)の仕組み

外壁通気構法は、外装材(1次防水)の継ぎ目等からの雨の浸入や軒裏換気孔からの雨や雪吹込みに対し、防水上とても有効です。 外壁通気構法による防水の仕組みは、水の排出と浸透防止の2つの機能にあります。水の排出は、外壁材と壁下地材の間に空間をあけるため、浸入した水が留まらずに流れ落ち、水切りなどから屋外へ排出できます。浸透防止については、透湿防水シート(2次防水)を壁下地に施すことで、壁体内に水が浸透することがなくなります。 瑕疵担保責任保険の設計施工基準においても、外壁通気構法をとる場合の「透湿防水シートの性能」「透湿防水シートの重ね巾」「開口部周囲のテープ張り」について次のように定めがあり、住宅瑕疵保険を利用する場合は遵守しなければなりません。

しかし、NEXTSTAGEが講演するセミナーに参加した現場監督に「透湿防水シートの重ね巾どれだけ必要かご存知ですか」と質問すると、正しく答えられる方が意外と少ないというのが住宅業界の現状で、通気層は設けていても防水性能が発揮できる施工品質となっているかは、不安の残るところです。

 

最低限遵守すべき基準が定められている

〜瑕疵担保責任保険の設計施工基準から抜粋〜

(外壁の防水)

第9条

外壁は、防水紙又は雨水の浸透を防止する仕上材等を用い、構造方法に応じた防水措置を施すこととする。

2  防水紙の品質及び張り方は、次の各号によるものとする。(1)通気構法(外壁内に通気層を設け、壁体内通気を可能とする構造)とした外壁に用いる 防水紙は、JIS A 6111(透湿防水シート)に適合する透湿防水シート又はこれと同等以上 の透湿性能及び防水性能を有するものとする。

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(2)前号以外の外壁に用いる防水紙は、JIS A 6005(アスファルトルーフィングフェルト) に適合するアスファルトフェルト 430 又はこれと同等以上の防水性能を有するもの(透湿防水シートを除く)とする。

(3) 防水紙の重ね合わせは、縦、横とも 90mm 以上とする。横の重ね合わせは、窯業系サイ ディング仕上げは 150mm 以上、金属系サイディング仕上は 150mm 以上とする。ただし、サイディング材製造者の施工基準においてサイディング材の目地や継ぎ目からの雨水の浸入を防止するために有効な措置を施すなど、当該基準が適切であると認められる場合は当該 基準によることができる。

(4)外壁開口部の周囲(サッシ、その他の壁貫通口等の周囲)は、防水テープを用い防水紙を密着させることとする。

 

また、瑕疵担保責任保険の設計施工基準を遵守していたとしても、安心できるわけではありません。例えば、窓上の位置に透湿防水シートの重ねがくると通気層に浸入してきた水が防水シートの裏に廻り、漏水につながる恐れがあります。(下の写真・図参照) そのため優良ビルダーでは「窓上では重ねない」というルールを定め施工を行っています。このように外壁通気構法で漏水させない安心な家を建てるためには、開口部とシートの重ね位置、防水テープ種類、使い方、その他もろもろ自社で基準を定め施工する必要があるでしょう。

 

窓上の位置に重ねがある事例

窓まわりの防水シート裏は両面防水テープを使って密着させていても、防水シート重ね部分から水が浸入する恐れがあります。

 

片面テープを利用した場合は、さらにリスクが高くなります。
両面テープ→水が重ね終わりまで達しなければ逃がすことができます。
片面テープ→水が重ね始めを越えただけで、防水シート裏に廻るリスクがあります。

 

 

 

住宅品質向上のリーディングカンパニー
株式会社NEXT STAGE

住宅会社の自社品質基準の構築や、建築現場での第三者監査など「住宅品質の安定と向上を具現化する」ためのコンサルティング事業を展開。

https://nextstage-group.com/