漏水リスクの高いフレキダクトに 最適な雨仕舞とは?
実証実験 2018.12.17漏水リスクの高いフレキダクトに対応すべく、
防水役物で雨仕舞を実証実験。
軒の出の少ない住宅の増加に伴い、外壁からの雨水浸入が増えています。なかでも、換気口や配管などの外壁貫通部は、5本の指に入る危険部位です。ここでは、とくに漏水リスクの高いフレキダクトに関して、そのメカニズムと最適な雨仕舞について検証しました。
国土技術政策総合研究所(国総研)『資料第975号』では、「配管貫通部にフレキシブル管やスパイラル管を使用すると、その溝部は片面粘着防水テープと隙間が出来やすく、水みちとなり漏水の危険が高い」と明確に注意喚起されています。また、住宅外装テクニカルセンタ-『換気口周辺の防水施工マニュアル』でも、これらの配管部材は防水処理上、接続パイプとして適さないと明記されており、施工の際には細心の注意が必要です。
城東テクノのGAISOには、配管まわりの効果的な雨仕舞を実現する防水役物という商品があります。本商品は樹脂系貫通配管への使用が推奨されていますが、実際の現場で多用されているフレキダクトの雨仕舞に適用するにはどのように納めたらよいか、実験により検証してみました。
防水役物
防水役物を用いたフレキダクトの防水処理方法試験
下記の2つの試験体A・Bを用意して散水試験を行い、 それぞれ漏水の有無を確認しました。
試験体A:フレキダクトに防水役物 配管用を 施工した試験体A
試験体B:フレキダクトを最大長まで伸ばして 片面防水テープ(幅50㎜)を巻きつけてから 防水役物 配管用を施工した試験体B
散水量は4ℓ/分とし、試験体上部100㎜~200㎜内外の所より散水し(写真①)、漏水が確認できた時点で散水を止め、漏水が確認できなかった場合は、2分間を上限に散水を行いました。漏水の有無は試験体裏側より目視にて確認しました。
【試験体について】
約450㎜角の合板に防水紙を張り、中心部に穴をあけてフレキダクトを通しました。試験体A、Bそれぞれを木材で組んだ冶具にシャコ万力で取り付け、合板の3方向の端部をアルミテープで水が入らないように処理を行いました。(写真②)
<結果>
「試験体B」では、漏水なしの結果に。
フレキダクトに防水役物 配管用を施工した「試験体A」では、防水役物のブチルとフレキダクトの間にできた小さな溝から水が入り込む様子が確認され、合板にも漏水の跡が観察されました。一方、フレキダクトに防水テープを巻きつけてから防水役物配管用を施工した「試験体B」では、漏水は確認されませんでした。
試験体Aにおける漏水の原因の考察
・フレキダクトは表面の凹凸が大きいため、溝の底部まで防水テープの粘着層が密着しきれなかったため。
・フレキダクトの溝がスパイラル状に繋がっており、斜めに水が入りやすい状況となっているため。
※防水役物配管用に限らず他の納まりであっても、フレキダクトとの取り合いから同様の漏水の可能性が非常に高いため、十分に注意が必要です。
試験体Bで漏水を防ぐことができた理由の考察
・フレキダクトの溝がスパイラル上に繋がっている部分に片面防水テープ(幅50㎜)を1重巻きつけたことで、溝へ浸入した水が防水テープと防水役物によって留まり、躯体側まで排出されなくなったと考えられます。
※壁体内まで貼り延ばした防水テープがポイントです。
<結論>最大長に伸ばしたフレキダクトに、片面防水テープ(幅50mm)を巻いた上で 防水役物 配管用を施工すれば、一定の防水性能を確保できることが確認できました。
螺旋状の凹凸のある配管使用時の推奨納まり
・フレキダクト蛇腹部を最大長まで伸ばし、防水ラインに掛かる部分へ片面防水テープ(幅50㎜以上)をシワが付かないように1重巻き付ける。その際、防水テープの貼り終わりが配管下部となるようにする。
・貫通配管は屋内側から屋外側に向けて低くなるように勾配をつけて取り付け固定する。
・防水テープと防水役物 配管用の接触部分は隙間が生じないようしっかり圧着する。